「企業版ふるさと納税はいつまで使えるのか?」——CSR担当者が最初に確認するのがこの期限の問題です。結論から言えば、令和9年度(2027年度)まで延長済み。ただし「いつまで」には複数の意味があり、それぞれ正確に把握しておく必要があります。
3つの「いつまで」を整理
| 「いつまで」の意味 | 回答 |
|---|---|
| 制度自体の期限 | 令和9年度末(2028年3月31日)まで |
| 9割控除(上乗せ措置)の期限 | 令和9年度末まで(通常型・人材派遣型とも) |
| 寄附の実行期限(3月決算の場合) | 2028年3月31日まで(事業年度内に実行) |
制度の沿革と延長の歴史
企業版ふるさと納税は平成28年度(2016年度)に創設されて以来、段階的に拡充・延長されてきました。制度がどう変遷してきたかを把握すると、今後の見通しも立てやすくなります。
| 時期 | 主な変更点 | 税軽減率 |
|---|---|---|
| 平成28年度(2016) | 制度創設。損金算入+税額控除の二階建て | 約6割 |
| 令和2年度(2020) | 税額控除を3割→6割に大幅拡充。9割控除が実現。人材派遣型を創設 | 約9割 |
| 令和4年度(2022) | 令和6年度まで2年延長 | 約9割(維持) |
| 令和7年度(2025) | 令和9年度まで3年延長。経済的利益供与の禁止強化(欠格期間2年創設) | 約9割(維持) |
出典: 内閣府「令和7年度税制改正 企業版ふるさと納税の延長」
📎 この推移データはCSV・グラフ付きで商用利用可能な形で公開しています(CC BY 4.0):企業版ふるさと納税 年度別推移オープンデータ
注目ポイント: 令和2年度の「6割→9割」拡充は制度利用を爆発的に増やしました。令和元年度26億円→令和2年度110億円→令和6年度631億円と、わずか5年で24倍に成長。この実績が延長の根拠になっています。
寄附額の推移が示す「延長の可能性」
制度が今後も延長されるかを予測する上で、寄附実績の推移は最も重要な指標です。
| 年度 | 寄附額 | 寄附企業数 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 令和元年度 | 26億円 | 808社 | — |
| 令和2年度 | 110億円 | 2,249社 | +323% |
| 令和3年度 | 226億円 | 4,047社 | +105% |
| 令和4年度 | 341億円 | 5,765社 | +51% |
| 令和5年度 | 470億円 | 7,000社超 | +38% |
| 令和6年度 | 631億円 | 8,464社 | +34% |
年率30〜50%で成長し続けており、地方創生の重要な財源として定着しています。この傾向が続く限り、令和10年度以降も何らかの形での制度継続は有力と考えられます。
決算期別: あなたの会社の「いつまで」
企業版ふるさと納税の期限は「令和9年度末まで」ですが、実際にいつまでに寄附すればよいかは自社の決算期によって異なります。
| 決算月 | 最終対象事業年度 | 寄附の実質的な期限 | 申告期限 |
|---|---|---|---|
| 3月決算 | 2027年4月〜2028年3月 | 2028年3月31日 | 2028年5月末 |
| 12月決算 | 2027年1月〜2027年12月 | 2027年12月31日 | 2028年2月末 |
| 9月決算 | 2027年10月〜2028年9月 | 2028年9月30日 | 2028年11月末 |
| 6月決算 | 2027年7月〜2028年6月 | 2028年6月30日 | 2028年8月末 |
💡 自社の寄附額で試算するなら:所得額と寄附額を入力するだけで税額控除・実質負担が即座に出ます → 寄附額シミュレーター 2026年版
実務上のポイント: 法律上の期限ギリギリではなく、決算月の2ヶ月前までに寄附を実行するのがおすすめです。寄附金受領証明書の発行に時間がかかることがあり、確定申告に間に合わなくなるリスクを避けるためです。詳しい手続きスケジュールは手続き完全ガイドをご覧ください。
令和7年度税制改正の要点(最新の延長内容)
令和7年度(2025年度)の税制改正で決定した主な変更点を整理します。
延長: 令和9年度まで3年延長
- 適用期限が令和6年度末から令和9年度末(2028年3月31日)まで延長
- 税額控除率(最大約9割)は据え置き
- 人材派遣型も同様に延長
規制強化: 経済的利益供与の禁止を厳格化
- 経済的利益の供与が確認された場合の欠格期間が2年間に
- 自治体側の違反に対する罰則も強化
- 詳しくは禁止行為とグレーゾーンの記事で解説
出典: 内閣府「令和7年度 地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)に係る税制改正の概要」
令和10年度以降の見通し
現時点で令和10年度以降の延長は正式に決定していません。しかし、以下の要素から何らかの形での継続は有力です。
延長を後押しする要因
- 寄附額の急成長: 毎年30%以上の成長、令和6年度は631億円に到達
- 地方財政への貢献: 地方交付税に代わる自主財源としての重要性が増大
- 企業のCSR・ESG需要: サステナビリティ開示の義務化で地方貢献の需要は今後も拡大
- 過去の延長パターン: 一度も縮小されず、むしろ拡充の一途
注意すべきリスク要因
- 不正事案の増加: 経済的利益の供与(実質的な返礼品)が発覚するケースが散見
- 大都市圏の反発: 税収流出への懸念(個人版ふるさと納税と同様の構図)
- 制度の「恒久化」の可能性: 延長を繰り返すより恒久化する議論も
CSR担当者への提言: 「今」動くべき3つの理由
- 確実に9割控除を使える期間は残り2年 — 令和10年度以降は不透明
- 寄附先の「良い事業」は早い者勝ち — 8,464社が競合する中、関係構築は先行者有利
- 稟議の通しやすさは今がピーク — 631億円・8,464社の実績は「他社もやっている」の最強の根拠
制度の詳細: 企業版ふるさと納税とは / 寄附先を探す: 事業一覧 / 税額を試算: シミュレーション
よくある質問
Q: 令和9年度に寄附して、令和10年度の確定申告で控除を受けることはできますか?
はい、可能です。税額控除は寄附を行った事業年度の確定申告で適用されます。令和9年度中に寄附を実行していれば、確定申告が令和10年度にずれ込んでも控除を受けられます。
Q: 制度が終了した場合、すでに約束した継続寄附はどうなりますか?
制度終了後も寄附自体は可能ですが、企業版ふるさと納税としての税額控除(上乗せ分の6割)は受けられなくなります。通常の寄附金として損金算入のみが適用されます。継続寄附を計画している場合は、制度期限内に寄附を完了するスケジュールを組むことをおすすめします。
Q: 制度開始当初(平成28年度)から使っている場合、「いつから」の控除率の違いはありますか?
はい。平成28年度〜令和元年度の寄附は税額控除が3割(損金算入と合わせて約6割)でした。令和2年度以降は税額控除が6割に拡充され、最大約9割の軽減になっています。過去の寄附について遡って9割控除を適用することはできません。
Q: 3年延長の次は何年延長されそうですか?
予測は困難ですが、過去のパターンでは2年→3年と延長幅が拡大しています。寄附実績の成長が続けば、次回はさらに長期の延長や恒久化の可能性もあります。ただし確実ではないため、現在の期限(令和9年度末)を前提に計画するのが堅実です。
まとめ
企業版ふるさと納税は令和9年度(2027年度)まで延長済み。9割控除の恩恵を確実に受けるには、この期間内に寄附を実行する必要があります。制度の今後は未定ですが、年率30%超の成長実績から継続の可能性は高いと見られています。
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