2026年4月 最新版:内閣府通知の変更点まとめ
- 禁止行為・許容行為の基本ルールに変更なし(2026年4月現在)。2025年4月1日付の内閣府解説が引き続き適用されます
- 令和7年度改正(2025年4月施行)が1年経過:チェックリスト導入・一者応札の国への報告義務・欠格期間2年創設が定着し、自治体側の管理体制が大幅に強化されています
- 税額控除の適用期間は令和9年度末(2028年3月31日)まで延長済み。制度の恒久化は未決定のため、早期活用が引き続き推奨されます
- 企業として気をつけるべき新たなグレーゾーン:ESGレポートへの自治体ロゴ掲載・共同プレスリリース(本ページFAQ Q11・Q12参照)
最終確認日:2026年9月 / 出典:内閣府 経済的な利益供与についての解説(令和8年4月1日一部改正)(PDF)
この記事のポイント
- 補助金交付・低利貸付・入札便宜など7つの行為が明確に禁止されている
- 感謝状・企業名HP掲載・記念品・視察受け入れは社会通念上の許容行為
- 違反した自治体は認定取消+再申請欠格期間2年のリスクがある(令和7年度改正)
- 既存の契約関係や、寄附後の公正な入札参加は問題なし
企業版ふるさと納税では、寄附企業が寄附の代償として経済的な利益を受け取る行為を禁止しています。地域再生法施行規則(平成17年内閣府令第53号)第13条が定める、制度の健全性を保つための基本ルールです。
なぜ禁止されているのか
企業版ふるさと納税を使うと、企業は最大約9割の税負担軽減を受けられます。ここに経済的な見返りまで加わると、実質的に「税金を使った取引」になり、制度の趣旨が崩れてしまいます。寄附の自主性と公益性を守り、地方公共団体間の公平性を保つために、経済的利益の供与は明確な禁止事項です。
禁止されている行為
内閣府の解説資料は、次の行為を明示的に禁止しています。
| 禁止行為 | 具体例 |
|---|---|
| 補助金の交付 | 寄附の代償として補助金を交付すること |
| 低利貸付 | 他の企業より低い金利で貸付を行うこと |
| 入札・許認可での便宜 | 入札時や許認可に関わる場面で特別に便宜を図ること |
| 財産の低価格譲渡 | 合理的理由なく市場価格以下で財産を譲渡すること |
| 換金性の高い物品の供与 | 商品券やプリペイドカードなど換金性の高い商品を渡すこと |
| 寄附の入札条件化 | 寄附しなければ入札に参加できないようにすること |
| 施設の独占的使用 | 寄附によってできた施設を独占的に使用させること |
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認められている行為
一方で、次の行為は社会通念上許容される範囲として、実務上問題ありません。
| 認められる行為 | 具体例 |
|---|---|
| 感謝状の贈呈 | 感謝状またはそれに類するものを贈ること |
| 企業名のHP掲載 | HP・広報番組等で他の寄附者と並べて企業名を紹介すること |
| 施設への企業名表示 | 施設等に他の寄附者と並べて企業名を表示すること |
| 記念品の贈呈 | 社会通念上許容される範囲の記念品を贈ること |
| 視察の受け入れ | 寄附先事業の視察を受け入れること |
| 表彰への推薦 | 表彰制度への推薦を行うこと |
NG/OK 早見表:よく混同される3パターン
CSR担当者が実務で最も判断に迷いやすい3つのシナリオを、NG(禁止)・OK(適正)で対比します。
| 判定 | シナリオ(NG例) | シナリオ(OK例) |
|---|---|---|
| ケース1 金銭・補助 |
❌ NG 「〇〇市に100万円寄附したら、市から当社への補助金審査を優先してもらう」という口頭の約束を交わした → 補助金優遇が「寄附の代償」として事前に取り決められているため、明確な違反 |
✅ OK 「〇〇市に100万円寄附した」。寄附とは別の審査プロセスで、後日当社が補助金の一般公募に応募した → 事前の取り決めがなく独立した手続きのため、問題なし |
| ケース2 物品・記念品 |
❌ NG 寄附の御礼として〇〇市から「3万円分の百貨店共通商品券」を受け取った → 商品券は換金性が高く、経済的利益の供与に該当。金額の多寡は問わない |
✅ OK 寄附の御礼として〇〇市から「地元酒蔵の日本酒1本(時価2,000円)」を受け取った → 換金性がなく地域性のある記念品。社会通念上許容される範囲として、問題なし |
| ケース3 広報・PR |
❌ NG 「〇〇市に寄附する代わりに、市の公式広報誌に当社の新商品の広告を無料掲載してもらう」という取り決めを寄附前に締結した → 広告枠提供が寄附の代償となっており、経済的利益供与に該当 |
✅ OK 〇〇市が「企業版ふるさと納税 協力企業一覧」ページに、他の寄附企業と並べて当社名を掲載した → 他寄附者と同一条件での企業名並記は内閣府が明示する許容行為 |
内閣府解説(2025年4月明確化・2026年4月一部改正):感謝状・企業名並記の取扱い
内閣府は2025年4月1日付で「寄附を行うことの代償として経済的な利益を供与すること」についての解説資料を改訂し、2026年4月1日付でさらに一部改正しました(現行版は後者)。CSR担当者にとって実務上重要な「感謝状」「企業名並記」の取扱いを、従来より具体的に明確化しています。
2025年4月1日付 内閣府解説による明確化ポイント
- 感謝状(または感謝状に類するもの)の贈呈は許容:寄附企業への感謝の意を示す感謝状・感謝プレートの贈呈は、経済的利益の供与にあたらないことが明示されています
- HP・施設・広報番組等での企業名並記は許容:他の寄附者と並べて企業名を掲載・表示することは経済的利益に該当しない、とより明確に整理されました。「単独での特別扱い」が禁止であり、他寄附者との並記は適正です
- 判断基準の再確認:「社会通念上相当と認められる範囲」かどうかが引き続き判断軸。換金性・独占性・事前の取り決めの有無が主なチェックポイントです
稟議への活用方法
この2025年4月解説は、社内稟議で「企業名掲載・感謝状の受け取りは問題ない」ことを示す根拠資料になります。稟議書の参考資料欄に上記PDFを添付し、「同解説に許容行為として明示されている」と書き添えれば、コンプライアンス部門の承認を得やすくなります。
令和8年4月1日改正で追加:共同研究等への寄附充当の判断基準
内閣府は令和8年(2026年)4月1日、経済的利益供与の解説資料を一部改正し、「共同研究等」の節を新設しました。この節は、寄附を行った法人が大学・研究機関等との共同研究等に参画し、その費用に自社の寄附が充てられるケースを取り上げ、禁止される経済的利益の供与に当たるかどうかの判断基準を示しています。産学連携型の地方創生プロジェクトに寄附を検討する企業は、ここを新たな一次情報として押さえておくべきです。
共同研究等が「許容される」ための2要件(研―答)
- 参画者の限定がないこと:寄附法人とその関係会社のみが参画しているのではないこと。ただし寄附時点または共同研究等の開始時点で寄附法人・関係会社のみが参画している場合でも、他の法人が将来的に参画することが排除されていなければ許容されます。
- 地域への波及効果が見込まれること:共同研究等で得られる成果が社会実装される際に、寄附を受領した地方公共団体をはじめとする地域への波及効果が見込まれること。
出典:内閣府 経済的な利益供与についての解説(令和8年4月1日一部改正)(PDF)【共同研究等】研―問・研―答
解説資料の補足説明で示された実務上の留意点
同節の補足説明は、上記2要件を満たしていることを示すための具体的な運用方法も挙げています。稟議やコンプライアンス確認のチェック項目として使えます。
- 波及効果は外部に明示する:「寄附を受領した地方公共団体をはじめとする地域への波及効果」は、外部に対して可能な限り具体的に明示することが望まれるとされています(補足説明その2)。
- 参画の門戸開放を担保する方法:他の法人が将来的に参画することが排除されていないことを担保する方法として、寄附を活用して実施する共同研究等の内容や参画にあたって参考となる情報を、地方公共団体や大学等の研究機関のHPで公開することが例示されています(補足説明その3)。
- 親会社が寄附する場合も同じ考え方:寄附法人が共同研究等に参画する法人の親会社である場合も、研―答と同様の考え方で判断します(補足説明その4。詳細はQ&AのQ5-5)。
- 大学等を指定した寄附はトンネル寄附金に当たらない:法人が特定の大学等を指定して寄附活用事業への充当を希望する場合も、寄附者の希望を斟酌しつつ最終的には地方公共団体の判断で支出先が決定されることを前提に、いわゆるトンネル寄附金に該当せず税制の対象となるとされています(補足説明その5。詳細はQ&AのQ3-16)。
- 一般運営費への充当は対象外:寄附金が大学・研究機関等の一般的な運営費等に充当される場合は、この答の内容は当てはまりません(補足説明その6)。共同研究等のための補助金等に充てる場合とは別に、検討が必要です。
稟議での使い方(当サイトの整理)
以下は、当サイトが上記解説の要件から整理した実務上の目安です。自社の案件が要件を満たすかどうかは、寄附先自治体および研究機関と個別に確認してください。自社単独で参画する共同研究に寄附を充てる場合、事前に①参画の門戸が公開情報として開かれていること、②成果の社会実装が寄附先地域にどう還元されるかを稟議書に具体的に書けること、の2点を押さえておくと、コンプライアンス部門の確認が通りやすくなります。逆に、研究成果の独占利用が前提の案件や、寄附が研究機関の一般運営費に回る建て付けの案件には、この解説は当てはまりません。注意が必要です。
判断の基本原則
内閣府のQ&Aは、寄附という行為と経済的利益の供与が「相互に必然性を伴って予め決まっていなければ、制度上問題ない」と整理しています。つまり寄附と利益供与の間に因果関係がなく、事前の取り決めもなければ、問題は生じません。
グレーゾーンのケース
既存の契約関係がある企業からの寄附
寄附前から既に契約関係がある企業からの寄附であれば、問題ありません。寄附の代償として契約が結ばれたわけではないからです。
寄附後の入札参加
寄附後に公正な手続きを踏んで入札に参加すること自体は問題ありません。ただし、次の条件を満たす必要があります。
- 寄附を行った法人への便宜供与がないこと
- 手続きの公正性・透明性に係る説明責任を十分に果たすこと
違反した場合のペナルティ
| 対象 | ペナルティ |
|---|---|
| 自治体 | 地域再生計画の認定取消の可能性 |
| 自治体 | 企業版ふるさと納税の利用禁止または制限 |
| 自治体 | 令和7年度改正で再申請の欠格期間(2年間)が創設 |
| 企業 | 禁止事項を要求した場合の社会的制裁の可能性 |
令和7年度税制改正での制度強化
令和7年度の税制改正は、制度を健全に発展させるため、次の改善策を導入しました。
- 事業の各段階でのチェックリストの導入
- 一者応札の場合等の国への実施報告の義務化
- 寄附活用事業の発注先の公表
- 認定取消しを受けた場合の再申請に係る欠格期間(2年間)の創設
稟議前の自社確認チェックリスト
寄附を検討する際は、CSR担当者として次の点を稟議書の添付確認に使ってください。
- 寄附先自治体との間に既存取引・契約関係があるか確認した
- 寄附と引き換えに自治体側から何らかの便宜を求めていない
- 受け取り予定のもの(感謝状・HP掲載・記念品)が許容行為の範囲内である
- 寄附後に当該自治体案件で入札参加する予定がある場合、コンプライアンス部門に相談済み
- 商品券・プリペイドカードなど換金性の高い物品を受け取る約束をしていない
全項目を確認したうえで、出典欄の内閣府資料を稟議書の参考資料として添付します。
よくある質問(FAQ)
CSR担当者から実際に寄せられる「これってやっていい?」形式のQ&Aをまとめました。判断に迷ったときの参考にしてください。
Q1. 寄附先自治体から「地元の物産品」を贈られてもいい?
社会通念上の範囲であれば問題ありません。内閣府ガイドラインでは「記念品の贈呈」は許容行為とされています。ただし換金性の高い商品券やギフトカードは禁止です。地酒や工芸品など、地域色のある非換金品であれば基本的に認められます。稟議書には「受け取り品目」と「換金性なし」の確認を記載しておくと安心です。
Q2. 寄附先自治体の公共施設を無料または低価格で使用してもいい?
「独占的使用」は禁止ですが、一般向けに開放されている条件と同等なら問題ありません。寄附の代償として施設を独占的・優先的に使用させるのは違法です。他の市民や企業と同じ料金・同じ手続きで利用する分には制度違反になりません。寄附と施設使用の間に「取り決め」がない状態を維持することが重要です。
Q3. 自治体から紹介された地元企業と取引してもいい?
商業的に合理的な取引であれば問題ありません。自治体が地元企業を紹介すること自体は違反ではありません。ただし「寄附すれば優良取引先を紹介する」という事前の約束があると、経済的利益供与とみなされるリスクがあります。紹介を受けた場合も、一般的な取引条件(価格・品質)で契約することを記録しておきましょう。
Q4. 寄附した後に、その自治体の入札に参加してもいい?
公正な手続きを踏んだ入札参加は問題ありません。内閣府Q&Aでも「寄附後の公正な入札参加は禁止されていない」と明記されています。ただし「寄附をしたから入札で優遇する」という事前の約束があると違反になります。入札参加を予定している場合は、寄附決定前にコンプライアンス担当に相談し、寄附と入札の独立性を確保してください。令和7年度改正で一者応札案件の国への報告義務化が加わったため、自治体側のリスクも高まっています。
Q5. 自治体主催の展示会・商談会で出展ブースを設けてもいい?
他の出展者と同じ条件であれば問題ありません。寄附企業だけが無料または特別に有利な条件で出展できるとなると、経済的利益供与にあたる可能性があります。逆に、一般参加費を支払い、公募プロセスを経た出展は適正です。担当者は「出展条件が公開されているか」「他社と同一条件か」を確認しておきましょう。
Q6. 自治体が発行するパンフレットや広報誌に広告を掲載してもいい?
「他の寄附者と並べて企業名を掲載する」は許容行為ですが、有償広告は別の話です。HP・広報媒体での企業名紹介は内閣府が認めていますが、これは感謝のための名前掲載であり広告枠の販売ではありません。広告掲載が実質的に「有償プロモーション機会」として機能する場合、経済的利益供与と判断されうるグレーゾーンです。法務・コンプライアンス部門への事前相談を強く推奨します。
Q7. 従業員向けに寄附先の観光体験プログラムを無料で受けてもいい?
「寄附活用事業の視察」として位置付ければ許容されますが、福利厚生的な無償体験は要注意です。内閣府は「寄附先事業の視察を受け入れること」を許容行為として認めています。寄附先の事業内容を確認する目的であれば問題ありません。一方、従業員の旅行や娯楽として実質的に機能する無償招待は、換金性の高い物品供与に準じる経済的利益と解釈されるリスクがあります。
Q8. 子会社や関連会社が同じ自治体に別途寄附してもいい?
それぞれが独立した意思決定であれば問題ありません。制度上の寄附主体は法人単位です。親会社・子会社がそれぞれ独自に判断して同一自治体に寄附することは、制度違反にはなりません。ただし、税務上は各法人の損金算入枠がそれぞれ適用されます。グループ全体でコンプライアンス方針を統一し、「グループ全社で寄附を条件として何かを求めていない」ことを確認しておくことが重要です。
Q9. 寄附先の自治体が当社製品・サービスを購入してもいい?
事前に取り決めがなく、公正な調達手続きを経たものであれば問題ありません。「寄附すれば当社製品を購入する」という約束が先にあると、実質的には取引であり制度の趣旨に反します。寄附後に自治体が公募・競争入札を経て自社製品を選定した場合は問題ありません。判断の分かれ目は「因果関係と事前の取り決めの有無」です。取引の独立性を証明できるよう、調達履歴や選定経緯を記録しておきましょう。
Q10. 寄附額が少額(例:10万円)でも禁止行為のルールは同じ?
金額に関わらず、禁止行為のルールは一律適用されます。経済的利益の供与禁止に「少額なら例外」という規定はありません。10万円の寄附でも、それと引き換えに補助金交付・入札便宜・財産低価格譲渡を受ければ違反になります。なお、企業版ふるさと納税の最低寄附額は10万円と定められています。少額であっても「寄附と利益供与の間に取り決めがないこと」を守ることが基本です。
Q11. 自社のサステナビリティレポートに寄附先自治体のロゴを掲載してもいいですか?
自治体の許可を得た上であれば掲載可能ですが、表現方法に注意が必要です。内閣府は「寄附企業を広報媒体で紹介すること」を許容行為としていますが、逆方向(企業が自治体ロゴを使用してPRする)については自治体のロゴ使用規定に従う必要があります。「寄附先パートナー自治体」などの表現で掲載する場合は、ESGレポートの掲載内容が商業的なPRとして機能しすぎないよう注意してください。事前に自治体担当者へロゴ使用の許諾を得て、書面で確認しておくことを推奨します。
Q12. 寄附先自治体から共同プレスリリースを提案されました。問題ありませんか?
内容と目的によりますが、寄附事業の成果を共に広報する共同発表は概ね問題ありません。「○○自治体の〇〇事業に寄附しました」という事実を伝える内容であれば、制度の透明性向上にもつながる適正な行為です。ただし「寄附の代償として自治体が企業の製品・サービスを宣伝する」という性格のプレスリリースは経済的利益供与にあたる恐れがあります。プレスリリースの中に自社の商品・サービスを売り込む内容が含まれていないかを法務部門に確認してから発表しましょう。
令和7年度改正準拠:実務判定の独自Q&A 5問
令和7年度税制改正(2025年4月1日施行)で導入された「欠格期間2年」「一者応札の国への報告義務化」「チェックリスト導入」を踏まえ、CSR担当者が実務で最も判断に迷う5つの論点について、内閣府の運用基準と地方創生推進事務局の照会対応事例をもとに整理しました。
Q13. 認定取消後の欠格期間2年とは、いつから2年間ですか?
認定取消の処分通知日から起算して2年間です。令和7年度税制改正で創設された欠格期間(2025年4月1日施行)は、自治体が地域再生計画の認定取消を受けた日から再申請ができない期間を2年間と定めています。期間中はその自治体の地域再生計画を活用した寄附自体ができなくなるため、CSR担当者は寄附検討時に「過去2年以内に当該自治体で認定取消歴があるか」を内閣府の公表情報で確認することを推奨します。
なお欠格対象は自治体側の処分であり、寄附企業の損金算入権・税額控除権は寄附完了時点で確定済みのため、寄附後に取消があっても遡及して企業側に課税されることはありません。年度内処分のケースでは寄附事業の中止・返金が発生する可能性があるため、自治体担当課への取消後対応の事前確認も合わせて行いましょう。
Q14. 親会社→子会社→自治体経由で寄附を循環させて、子会社が補助金を受け取る形は可能ですか?
制度違反のリスクが極めて高く、推奨できません。経済的利益供与禁止のルールは「寄附企業(その子会社・関連会社含む)が自治体から事前の取り決めによって便益を受けてはならない」と運用されています。たとえ親会社が寄附し、グループ会社の子会社が補助金を受ける構造でも、グループ全体で利益供与の事実が認められれば、自治体側の認定取消+欠格期間2年(令和7年度改正)の対象になります。
判定軸は「資本関係・人的関係・契約関係を含む実質的支配関係の有無」です。連結対象子会社・25%超出資先・役員兼任先などは特に厳格にチェックされる傾向があります。グループでの寄附判断は法務部門と地方創生推進事務局(内閣府)への事前相談が欠かせません。一者応札の国への報告義務化が令和7年度から始まり、グループ会社の落札パターンへの監視も強化されています。
Q15. 「本社所在地ルール」とは具体的にどう判定されますか?支店の所在地は対象になりますか?
寄附企業の本社(登記簿上の本店)が所在する都道府県・市区町村への寄附は税制優遇の対象外です。判定は法人税法上の主たる事務所(登記事項証明書記載の本店所在地)を基準に行われます。
重要な3点は以下の通りです。
- 支店・営業所・工場の所在地は対象外(本店所在地のみが判定基準)
- 本店移転を予定している場合は寄附時点の登記住所で判定(移転前後で判定対象自治体が変わる)
- 連結納税グループの場合は各社個別の本店所在地で判定(連結親会社の本店所在地が全グループ会社に波及するわけではない)
グレーケースとして、本店所在地が東京都千代田区の企業が東京都の事業に寄附する場合、市区町村単位で判定されるため、千代田区の事業は対象外でも他市区町村(八王子市・町田市等)の事業は対象内です。判断に迷う場合は寄附前に自治体担当課または地方創生推進事務局へ照会してください。判定基準や支店・グループ会社の扱いの詳細は本店所在地ルールQ&Aで網羅的に解説しています。
Q16. 既に取引のある自治体(指定金融機関・公共調達先など)への寄附は問題ないですか?
既存取引と寄附の独立性が確保されていれば問題ありません。地方銀行が指定金融機関を務める自治体に寄附する、システム会社が継続案件を持つ自治体に寄附する、といったケースは多く発生します。
判定軸は次の3点です。
- 寄附が既存取引の継続・更新の条件になっていないこと
- 寄附後に既存取引で価格・量・優先度の変更が一切ないこと
- 将来の入札・更新時に「寄附したから優遇」という事前の取り決めがないこと
実務対応としては、稟議書に「過去2年間の自治体取引一覧」を添付し、寄附時点・寄附後の取引条件が変わらないことを記録しておくことが推奨されます。令和7年度改正で「一者応札の国への報告義務化」が始まった以降、過去取引のある寄附企業が落札した場合の自治体側説明責任が重くなっているため、自治体側からも独立性確保への協力を得やすい状況です。
Q17. 「実質的な反対給付」かどうかは何で判定されますか?
内閣府の運用では、以下3要素が揃った場合に「実質的な反対給付」と判断されるリスクが高くなります。
- ① 対価性:寄附と引き換えに何らかの便益(補助金・優遇取引・施設利用権など)が得られる関係があること
- ② 事前合意性:寄附前または寄附時点で双方が便益供与について明示的または黙示的に合意していること
- ③ 金銭換算可能性:受け取る便益が市場価値で評価可能、または商品券・割引券のように換金性があること
逆に言えば、感謝状の贈呈・他寄附者と並べた企業名HP掲載・社会通念上の記念品(時価数千円程度の地酒・工芸品)は対価性または金銭換算可能性が低いため許容行為です。
CSR担当者は稟議書に「対価性なし・事前合意なし・換金性なし」の3点を明記することで、コンプライアンス部門の承認を得やすくなります。便益の3要素チェックは下記「経済的利益供与の自社チェック5ステップ」と組み合わせて運用してください。
経済的利益供与の自社チェック5ステップ
寄附稟議の前にCSR担当者が実施すべき判定手順を5ステップでまとめました。各ステップで判定根拠を残すことで、コンプライアンス部門の承認と寄附後の説明責任を両立できます。所要時間の目安は約1時間です。
-
ステップ1:既存取引・契約関係の棚卸し
寄附先自治体との過去2年間の契約・取引一覧(指定金融機関契約・公共調達・委託業務・賃貸借など)を作成し、寄附企業からの便益受領実績の有無を確認します。法務部・経理部の取引台帳と突合してください。 -
ステップ2:本社所在地ルールの適合確認
寄附企業の登記事項証明書の本店所在地と、寄附先自治体(都道府県・市区町村)が一致していないことを確認します。一致している場合は税制優遇対象外となるため寄附を見送るか、本店所在地以外の自治体への寄附に切り替えます。 -
ステップ3:受領予定便益の対価性・事前合意性チェック
寄附先自治体から受領する予定の便益(感謝状・記念品・HP掲載・視察受け入れなど)について、①寄附との対価関係、②事前の取り決めの有無、③金銭換算可能性の3点を評価し、すべて「該当なし」または「許容行為に該当」と判定できることを確認します(Q17の3要素判定と連動)。 -
ステップ4:換金性物品の授受がないことの確認
商品券・プリペイドカード・ギフトカード・割引券など換金性の高い物品を受領しない約束を、寄附先自治体担当課と書面または電子メールで確認します。地酒・工芸品など換金性のない地域記念品は許容範囲です。 -
ステップ5:内閣府解説PDF添付+コンプライアンス部門承認
稟議書に内閣府「経済的な利益供与についての解説(令和7年4月1日付)」PDFを参考資料として添付し、上記4ステップのチェック結果を記録した上でコンプライアンス部門・法務部門の承認を取得します。寄附先自治体に過去2年以内の認定取消歴がないこと(Q13参照)も併せて確認します。
※この5ステップは、JSON-LD HowTo構造化データとして本ページに埋め込まれているものです。そのため、Googleの検索結果でリッチリザルト表示の対象となる可能性があります。
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