企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、企業が地方自治体の地方創生プロジェクトに寄附すると最大約9割の税軽減を受けられる制度である。しかしメリットは税制面だけではない。本記事では、企業版ふるさと納税を活用することで得られる5つのメリットを整理する。
この記事のポイント
- 実質負担は寄附額の約1割まで圧縮できる
- CSR・ESG活動として企業ブランディングに活用できる
- 地域との関係構築や新規市場開拓のきっかけになる
- 人材派遣型を使えば社員の育成にもつながる
メリット①:最大約9割の税軽減効果
最大のメリットは、やはり税制面の優遇である。通常の寄附金の損金算入(約3割の軽減効果)に加えて、税額控除(最大6割)が上乗せされるため、合計すると寄附額の最大約9割が軽減される。
| 寄附額 | 税軽減額(最大) | 実質負担額 |
|---|---|---|
| 100万円 | 約90万円 | 約10万円 |
| 500万円 | 約450万円 | 約50万円 |
| 1,000万円 | 約900万円 | 約100万円 |
控除の内訳は、法人住民税から寄附額の4割、法人税から1割(住民税で4割に達しない場合の残額)、法人事業税から2割である。詳しい計算方法は控除上限額の解説記事で紹介している。
メリット②:CSR・ESG活動としてのアピール
企業版ふるさと納税では、寄附企業名が原則公表される。自治体のホームページや広報誌に企業名が掲載されるため、低コストで地域貢献の実績を対外的にアピールできる。
- ESG投資との親和性:地方創生への寄附は、E(環境)・S(社会)・G(ガバナンス)のうちSocial領域に該当し、ESG評価の向上につながる
- SDGsへの貢献:認定事業の多くは教育、環境、まちづくりなどSDGsの目標と関連しており、SDGs対応の実績として報告できる
- 採用ブランディング:社会貢献に積極的な企業として、特に若年層からの企業イメージ向上が期待できる
メリット③:地域との関係構築
寄附を通じて自治体と接点を持つことで、本業の事業機会につながる可能性がある。ただし、寄附の見返りとして直接的な経済的利益を受けることは制度上禁止されているため、あくまで副次的な効果である。
- 地域の課題を知る機会:寄附先の自治体が抱える課題を知ることで、自社の技術やサービスが活かせる分野が見つかることがある
- 自治体との信頼関係:継続的な寄附は自治体との信頼関係を構築し、将来的な事業連携の土台となりうる
- 社員の地域理解:寄附先の地域を社員が訪問することで、地方の実情やニーズへの理解が深まる
メリット④:人材育成(人材派遣型の活用)
令和2年に創設された「人材派遣型」では、企業の社員を自治体に派遣し、その人件費相当額を寄附として計上できる。社員にとっては通常の業務では得られない貴重な経験となり、企業にとっては人材育成の機会となる。
- 派遣形態は柔軟に設定可能(週3日、午前中のみなど)
- 自治体の行政運営やまちづくりに直接関わることで、リーダーシップや調整力が鍛えられる
- 2024年4月時点で累計157人が派遣され、119自治体が受け入れている
メリット⑤:少額から始められる
企業版ふるさと納税は1回10万円以上から利用できる。「まずは小さく試したい」という企業にとって、ハードルが低い制度である。
- 10万円の寄附でも実質負担は約1万円
- 小規模な寄附から始めて、効果を検証してから金額を増やすことができる
- 複数の自治体・事業に分散して寄附することも可能
活用を検討する際のチェックポイント
メリットの多い制度だが、活用にあたっては以下の点を事前に確認しておくとよい。
- 本社所在地:本社が所在する自治体への寄附は対象外
- 控除上限:法人住民税額・法人税額・法人事業税額によって控除上限が決まるため、自社の税額を事前に確認する
- 制度期限:令和9年度(2027年度)までの時限制度である
- 注意点の把握:デメリットや注意点も理解した上で判断することが重要
当サイトでは、全国の自治体が認定を受けた地域再生計画の一覧を掲載している。寄附先の検討にぜひ活用してほしい。